にしゅ〜にしゅうめ
- 職業…会社員
- 趣味…ゲーム・焚き火
- コミティア歴…コミティア148から
- https://nishu.me/
淡々とした日常のなかでふと訪れる、どうしようもなく心が揺れ動く時。そんな瞬間の表情を、にしゅ〜さんはシンプルな描線で最大限に引き出す。アニメーター出身というバックグラウンドも発揮しつつ様々な画風を駆使して描かれる作品は、青年マンガからBLまで実に幅広い。
実家は美容室。従業員として働いていた「お姉さん」に親しく接してもらい、大きな影響を受けたという。「お店のチラシやPOPを描いて貰ってたんですが、すごく絵が上手かったんです。それを真似していたのが、絵を描き始めたきっかけだったように思います」
高校の時は同級生とゲームの話題で楽しんだりする傍ら、アニメ業界を目指すようになる。「当時遊んでいたゲームはどれも思い出深いですが、劇中に手描きのアニメーションパートが流れる作品は特に記憶に強く残っています。その演出がまるでご褒美のようで、いつか自分も誰かにワクワクしてもらえるものを描きたいと思ったんです」。就職したアニメ会社での数年間は多忙を極めたが「ひたすら描くことで鍛えられました。絵を見せるうえでどこまで省略できるかという感覚だったり、絵コンテを切るようなやり方でコマ間の時間経過を表現したりという視点は、今のマンガ作りにも活きています」と、学んだことも多かった。
アニメの仕事を辞めた後は趣味で二次創作をしていたが、とある出来事を発端にオリジナル作品に取り組み始めることになる。「編集者さんに『何かうちで描きませんか?』とお声掛けいただいたんですけど、何もアイディアが思い浮かばなくて。本当に悔しくて、思い付いた物語の題材をメモに書き溜めるようになりました」。成果が最初に実を結んだのが、24年のコミティア148で発表した『おさげを解くとき』。いつも明るい小学生・みよちゃんの家庭環境を同級生の目線から優しく描く同作を皮切りに『はものども』『In The Vault?』といった短編を相次いで発表した。
その一方で「コミティアに申し込む前から描きたいと思っていた」と語るのが、とあるアニメ制作会社を舞台にした『エビス映造所で会いましょう。』(既刊3巻)。アニメーターの猪島と、なぜか彼に想いを寄せる制作進行・鹿野の2人を中心とする、「自分の『萌え』を入れ込んだ」というBL作品だ。個性豊かなスタッフたちによる人間関係、現場のリアルな風景が好評を博している。「作品全体で『好き』というテーマを表現したいと思っています。恋愛と、アニメの仕事に対する愛情が一緒に伝われば嬉しいです」。描き始めた段階で既に結末は決めているそうだ。「まずは『エビス映造所〜』を最後まで描き切ることが目標」と意欲を燃やす。
身近な喜怒哀楽を丁寧に織り上げ、作品へと昇華させるにしゅ〜さん。その評価は「コミティアではジャンルにとらわれず作品を手に取っていただけて、本当にありがたいです」という言葉にも表れている。あなたもぜひ、自分の心に刺さる場面を見つけてほしい。
TEXT / HIROYUKI KUROSU ティアズマガジン155に収録