COMITIA62 ごあいさつ

こんにちは。半年振りのビッグサイトコミティアへようこそ。

最近気になっていることがあります。
実はここ何回かのサークルアンケートの集計によると、どうもコミティアで売れる本の数が増え始めているようなのです。
これまではオリジナルの本は売れないのが定説でしたが、コミティアは果たして本が売れる即売会になって来たのでしょうか?
アンケートの回収率は全体の50%程度ですし、数字はあくまで自己申告ですから、多少のブレはあることは否めませんが、まずここで過去の数字を区切り毎に挙げてみましょう。
・コミティア30(94年11月)平均値38冊/中央値15冊
・コミティア40(97年5月)平均値38冊/中央値17冊
・コミティア50(99年11月)平均値39冊/中央値15冊
※中央値とは販売冊数順にサークルを並べた時の丁度半分の位置にいるサークルの販売冊数。
…と多少の凸凹はあれ、それまで大きな変化はなかったものが、前回のコミティア62では、
・コミティア62(02年9月)平均値62冊/中央値30冊
…とこの3年の間に一気に2倍近い数字になっています。とくに注目したいのは中央値の伸び方。これは一部の人気サークルによるのではなく全体に底上げされていることを表しています。果たしてこれが何を意味するのでしょうか?
一つには会場がほぼ東京ビッグサイトに定着して、コミティアがいわゆる大規模型のイベントになって来たのだと思われます。
実際にここ何回かは来場者が予想を大きく上回り、ティアズマガジンが昼頃には売れ切れてしまう事態が続いていました。
知名度のある会場は一般参加者が足を運びやすく、マーケットとしての雰囲気が生まれ、それがさらに参加者の購買意欲を刺激したのかもしれません。
最初は冷かし半分だった人たちが、だんだんとその日の「予算」が増えていろいろな本を買うようになって行く。同じ参加者でも、お財布に三千円入っているのと、三万円入っているのとではその日に使うお金も違ってくるでしょう。
コミティア30以前のサークルアンケートといえば「オリジナルは売れない」という嘆き節が多かったものが、最近は「自分の本が売れてビックリ!」という嬉しい答えが目立つようになってきました。実際に会場を歩いていると、昼過ぎには「完売御礼」の看板がちらほら立っていて驚かされます。
では、コミティアは売れる即売会になったのか? 確かにこれまでと比較すれば売れているのは明白ですが、実は他のイベントのデータが分からないので相対比較はしようがありません。ほとんどのイベントはこうしたデータは取らないし、取っても公開されることはまずありません(せめて平均値ぐらいは知りたいのですけれど…)。個々のサークルはそれぞれのイベントに出て自らの場合を検討するしかないのです。
その意味ではこんな数字の問題は「だからどうした?」以上の話にはならないのですが、実はここまでは長い前置きで、本題は「即売会で本が売れるのは良いことじゃないか」という話なのです。
同人誌の傾向としてアンチ商業誌という価値観からか、時に本が売れることにネガティブなスタンスを取ってしまうきらいがあります。
けれど、商業誌においても「売れること」が全てではないように、同人誌において「売れること」をきちんと評価しないのは、逆に「売れないこと」への言い訳に使われているような気がしてなりません。
もとより同人誌即売会とは20数年前、会員間でやり取りされるだけだった同人誌の世界に市場論理を持ち込んで活性化を目論んだもの。その意味で「売れる」「売れない」は即売会が提示する評価の物差しのひとつに過ぎず、それをどう判断するかは個々のサークルの側の問題です。
何より大切に考えて欲しいのは、一冊の本が売れたということはその購入者がその描き手の作品を評価したということ。5冊売れれば5人が、10冊ならば10人が、60冊ならば60人があなたの作品を評価したという「実数」に他なりません。
同人誌の即売会がマスプロダクトの商業流通に優る唯一のポイントは、逆説的な言い回しになりますが一冊一冊を手渡しで売れること。その一冊一冊の評価を何より描き手自身が噛み締めて欲しいと思います。結局、即売会の出来ることは描き手と読み手の一対一の出会いの場を作ることだけなのですから。
そしてなにぶん漫画は読んでナンボ。会場でパラパラ立ち読みしただけでは最終的な評価・判断は出来ない部分があります。それだけに買って帰ってじっくり読んでもらうためにも、「本が売れること」は多いに歓迎するべきとコミティアは考えます。
問題は今日買ってくれた人が次の新作を手にしてくれるかどうか? その手応えと次回への期待こそが創作へのひとつの原動力になるのではないでしょうか?
最後になりましたが、本日は直接1545/委託126のサークル・個人の描き手が参加しています。あなたの評価がきっと次の作品への原動力となることでしょう。厳しく暖かい評価を心からお待ちしています。

2002年11月17日 コミティア実行委員会代表 中村公彦

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