COMITIA64 アフターレポート

緑の深まる頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。5月5日に行なわれたコミティア64のアフターレポートをお送りします。

今回のコミティアはおかげ様で過去最大の参加サークル数でした。通例、ゴールデンウイークのコミティアはスーパーコミックシティの翌日開催で、それに合わせて地方から上京される方が多いのが特徴。1年の内で一番バラエティに富んだサークルが集まる時期でもあります。
そのせいかサークルアンケートには「ひさびさの参加です」という声が多く見受けられました。ここのところコミティアは固定のローテーションで開催されており、自分のペースに合わせてじっくり作品を描き、長いスパンで参加を考えてもらいたいと思います。
さて、今回はとりたてて会場内でのサブイベントはありませんでした。つまり「素のコミティア」だったわけで、アンケートを見ているとみんながその状態を一日ゆっくり楽しんでくれているのが良くわかります。
嬉しいのが、参加しているサークルが他のサークルさんの本をきちんと購入して読み、創作への刺激としてくれていること。これはコミティアにとって嬉しいコミュニケーションの形です。
かつて「漫研」というシステムがあり、協力して会誌を出したり、描き手同士で切磋琢磨して成長してゆく形がありました。これが国語辞典に載っている「同人誌」のもともとの意味です。それが20数年前に「同人誌即売会」というものが生まれ、次第に「漫研」というシステムは解体されてゆきました。
それ自体は自然な成り行きだったと思うのですが、「即売会」という市場原理のシステムの中で「描き手同士の切磋琢磨」の部分が一部ドラスティックに「競争」に置換えられてしまったのが、少し残念な気持ちでいました。それがいま、コミティアにおける描き手同士の和やかな交流を見ていると、かなり理想的な雰囲気が生まれているような気がします。この流れをどのように良い形で育ててゆけるか、じっくり考えていきたいと思います。
もう一つ、サークルアンケートで「コミティアの宣伝告知に良いアイデアがあったら教えて下さい」という質問をしたのですが、一番印象的だったのが「口コミにまさるものなし」という答え。
確かにその通りで、それには参加してくれた人たちがちゃんと満足して、次は人を誘いたいと思ってくれるイベントを地道に続けてゆくしかないでしょう。深く納得して、これからも頑張ろうと思い直した次第でした。

コミティア実行委員会代表 中村公彦